eclipse_toolは、gphoto2を利用した皆既日食撮影の自動化ツール(スクリプト)で、Windows上のWSL2環境で動作します。
ソニーのミラーレスカメラ(α7Rv)で開発しましたが、gphoto2対応カメラ一般に適用可能です。
- Windows10または11のWSL2(Ubuntu)
- gphoto2対応カメラ(SONY, NIKON, CANON, FUJIなど)
以下を参考にWindowsターミナルをインストールします。
以下を参考に、WSL2のUbuntu環境を用意します。
https://dev.classmethod.jp/articles/how-to-setup-wsl2-for-windows11/
インストールできたらWindowsターミナルでUbuntuを開き、以下のコマンドでgphoto2, bc, git, wgetをインストールします。
sudo apt install gphoto2 bc git
mkdir -p /mnt/c/eclipse-tool
cd /mnt/c/eclipse-tool
git clone ... #これ
以下を参考に、usbipdのversion4以降を入手します。version4.0以前では動作しません。
スタートボタンを右クリックしコマンドプロンプト(管理者)を開き、usbipd listと入力し実行します。 リストが表示されるので、接続したいカメラ名を確認します。
usbipd list
Connected:
BUSID VID:PID DEVICE STATE
:
2-14 054c:0e0c ILCE-7RM5 Not shared
この場合、ILCE-7RM5が BUSID 2-14 に繋がっています。(差すUSB口が同じならIDも変わらない模様)
次のコマンドを入力します。
usbipd bind --busid=2-14
再度usbipd listを実行すると、STATEが「Shared」になっています。
usbipd list
Connected:
BUSID VID:PID DEVICE STATE
:
2-14 054c:0e0c ILCE-7RM5 Shared
正常に動作しなかった場合、次のコマンドでwsl2を最新版にアップデートしてみてください。
wsl --update
※Windows11のみ検証。Windows10では異なるかも。
c:\eclipse-toolにあるstart.ps1をエディタで開き、先頭行のcamera_nameを上のusbipd listで得られたデバイス名に書き換えます。
$camera_name="ILCE-7RM5"
ファイルを上書き保存して閉じます。
ご自身の撮影計画に合わせ、shoot.shを修正します。詳細はファイルの中のコメント行を確認してください。
- α7Rvでしか確認していません。同じαでも機種やファームウェアによってだいぶ変わると思います。
- 特にSony Camera Remote SDK( https://support.d-imaging.sony.co.jp/app/sdk/ja/index.html )非対応機種の場合、ダイヤモンドリング撮影箇所の修正が必要です。
- お手持ちのカメラをつなぎ、WSL2環境下でgphoto2 --list-all-configと実行して得られる結果を見ながら色々試して下さい。
- gphoto2が動作するならキヤノンやニコン、フジでも理論上対応可能です。
観測予定地に合わせ、eclipse-env.shを修正します。詳細はファイル内のコメント行を確認してください。
- Eclipse Orchestratorのフリー版などに緯度・経度を入力すると算出できます。
- 時刻は世界時(UTC)で記載します。現地時刻ではありません。
- カメラの初期設定
自身の撮影計画に合わせて初期設定を行ってください。メモリ登録すると便利です。 eclipse-toolでは次の設定になっている前提で記載しています。- ドライブモード:1枚撮影
- 絞り:F8.0~9.0
- ISO:100
- シャッター:1/500
- α7Rvの場合
「リモート撮影設定」の「静止画の保存先」を「カメラ本体のみ」にする、または「保存画像のサイズ」を2Mにしてください。それ以外では撮影途中にカメラがフリーズする可能性があります。 フリーズしたら一旦電池とUSBを抜き差しすると復帰するようです。(α7Rv firmware 2.01 にて確認)
Windowsのタイムゾーンと時刻を日食発生時刻の少し前に変更します。 Windows Timeサービスをあらかじめ無効化しておいて下さい。
settime-20240408CDT.batを利用すると、当日12:20に時計修正&Windows Timeサービスの無効化できます。
- 省電設定(一定期間経過後に自動スリープになる)をオフを推奨します。
- 現地でネットワーク接続がない場合、機内モードにしてください。
- この場合、usbが正常動作しない可能性があります。下記「備考」参照。
- USBでカメラと接続する。
- 接続の直前にカメラバッテリーの抜き差しによるリセットを推奨します。
- ツール起動 * run.batを実行します.
撮影監視ウインドウを開くので、Eclipse Orchestrator等のシミューレーター等と並行にカメラ挙動を確認してください。
- usbipd: warning: A third-party firewall may be blocking the connection; ensure TCP port 3240 is allowed.と表示され固まる場合
WindowsFirewallの設定を開き、「WindowsFirewallの有効化または無効化」から「パブリックネットワークの設定」で「許可されたアプリの一覧にあるアプリも含め、すべての着信接続をブロックする」のチェックを外してください。 またはWindows Defenderファイアウォールをすべて無効にしてください。(※撮影終了後、元に戻すことを推奨します。)
- PCのチェック
- 時計が正確であること
- バッテリーが十分充電されていること
- 省電設定(一定期間経過後に自動スリープになる)をオフにする
- ツール設定のチェック
- eclipse-env.shの日食イベント時刻定義が正確であること。(UTCで記載。現地時刻ではありません。)
- カメラ接続
- カメラのバッテリーを抜き差しした後、USB接続する。
- ツール起動
- run.batを実行。
あとは皆既日食を目で楽しみましょう!
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